近年、むし歯や歯周病、事故などで、歯を失った時の治療法で多いのは、ブリッジや入れ歯でした。しかし今は、第三の治療法として「インプラント」をよく耳にするようになりました。

今回は、インプラントの手術に関する不安や痛みについて解説していきたいと思います。

インプラントとは？

インプラントとは、「体内に医療器具や材料を埋め込むこと」を総称しています。

歯科の場合、歯槽膿漏や歯周病などで歯を失ってしまったあごの骨に埋め込む人工の歯根もインプラントの一つになります。歯科領域では、『歯科インプラント』と呼びますが、他の科と比べて扱う機会が多いため、一般的に「歯科インプラント＝インプラント」と呼ばれています。

インプラントは、歯を失ってしまった部分のあごの骨に、チタン製の人工歯根を埋め込み、それを土台に人口歯を取り付ける治療方法です。天然歯とほとんど変わらない感覚で外観や機能を回復することが可能です。

インプラントに使用されている部品について

インプラントは主に、「フィクスチャー」「アバットメント」「上部構造（人工歯）」の3つのパーツから出来ています。「フィクスチャー」とは、顎の中に埋め込むチタン製の人工歯根です。「アバットメント」とは、フィクスチャーの上に取り付けられる土台のことで、「上部構造（人工歯）」とは、アバットメントの上に装着する人工歯になります。

インプラントのメリット・デメリットについて

インプラントのメリットは、残っている歯の負担が少ないことと、自分の歯と同じように物を噛んで食べることができます。また、見た目も天然歯と同じように自然なため、審美的にも優れています。反対にデメリットとしては、自費診療のため治療費が高額になります。また、個々の症状によって異なりますが、治療期間は約4～6ヵ月ほどかかります。
さらに、手術後は健康な歯を保つためにも、定期的にメンテナンスに通い、インプラント周囲炎を予防することが必要になります。

インプラントの手術の気になる痛みについて

インプラントの手術では、顎の骨に穴をあけてからインプラントを埋め込むので、不安に思われる方も多いと思います。

手術では「局所麻酔」を使用するため、注射針が刺さる痛みや、薬が注入されるときに感じる痛みがあるかもしれませんが、手術中は基本的に痛みをほとんど感じません。局所麻酔をする際の痛みに関して、麻酔前に歯肉に塗布する表面麻酔を用いたり、麻酔薬を事前に温めることで痛みを和らげることが可能です。
また、リラックスした状態をつくる「静脈内鎮静法」という麻酔法も併用して受けることができます。インプラントの治療後は、埋入本数の違いや、痛みや腫れの感じ方には個人差がありますが、痛み止めの薬で抑えることができる程度の痛みのため、時間の経過とともに緩和していきます。

まとめ

インプラントは、メリットとデメリットを考えた上で治療法を選ぶ必要があります。
ただ、入れ歯やブリッジに代わり、残っている歯の負担が少ないことや自分の歯と同じような感覚で物を噛んで食べることができます。また、手術に関しては患者様がリラックスしていただけるよう丁寧に対応させていただくので、不安な方は一度お気軽にご相談ください。