歯並びの治療法、自分で治す方法、歯列矯正などをご紹介。矯正の費用や治療の流れ、マウスピース矯正や見えない矯正などの種類、図解を入れて、分かりやすくお教え致します。
歯並びが悪くなる理由からお教え致します。
なぜ歯並びが悪くなるの?
歯並びが悪いと気になりますよね。最近は、食生活の変化などで歯並びが悪い子供や若者が増えています。では、そもそも、なぜ歯並びが悪くなるのでしょうか? 歯並びが悪くなる原因は、大きく分けて3つあります。
遺伝によるもの
唇のできも親や祖父母などから受け継いだDNAの中に、顎の骨の大きさや形、歯の形態などが含まれているため、歯並びに影響することがあります。 特に、「受け口」と呼ばれる歯並びは遺伝の影響が大きいといわれています。
(例:アントニオ猪木さんなどは受け口の代表ですね)
先天的な原因によるもの
妊娠中のお母さんの栄養摂取状態や薬の服用などによって、歯の形成に影響を与えることがあります
後天的な原因によるもの
生後、成長する過程での食生活、癖、口呼吸、姿勢、虫歯などが歯並びに影響します。実は、歯並びが悪くなる原因のほとんどが、この後天的な原因によるものだといわれています。
幼少期の過ごし方が歯並びの悪さに影響する
後天的に歯並びが悪くなる原因には、以下のようなものがあります。
幼少期の舌と唇の機能異常
最近、特に重要視されているのが幼少期の舌と唇の機能異常です。
唇を閉じず、ポカンと口が開いている(口唇閉鎖不全)
口が開いていると、唇を閉じる筋肉がゆるんだままなので、下あごの骨が常に後ろに引っ張られた状態になります。その結果、下あごが十分に前へ発育できません。また、唇が開いていると、前歯を内側へ押す力が弱くなるので、出っ歯になりやすくなります。
口呼吸をしている
口が開いていると、唇を閉じる筋肉口呼吸であることと唇を閉じられないことは連動しています。本来、人間は鼻で呼吸することで、「脳を冷やす」「空気を加湿する」「ウイルスやゴミを除去する」などを自動的に行っています。しかし、口呼吸になると、これらの処理をしないまま外気がそのままのどの奧にある扁桃に到達するので、扁桃腺が腫れ、感染症や様々な病気にかかりやすくなります。がゆるんだままなので、下あごの骨が常に後ろに引っ張られた状態になります。その結果、下あごが十分に前へ発育できません。また、唇が開いていると、前歯を内側へ押す力が弱くなるので、出っ歯になりやすくなります。
舌の位置が低い
舌が正しい位置にあると、舌全体が上あごに軽くあたっています。しかし,舌の筋力が弱って低い位置にあると、上の歯を広げていく力が働かないため、上の歯並びが狭くなります。また、口が常に開いたままになり、口呼吸になりやすくなります。
飲みこむときの異常な癖(舌を前に押し出すなど)
食べたり飲んだりするとき、舌は上あごに押し付けられるのが正常な動きです。しかし、飲み込む際に舌を前に押し出す癖などがあって正しい嚥下(飲み込み)ができないと、歯並びやかみ合わせが悪くなります。
これらの原因があると、舌や唇の力がうまく働かないので、歯が生えて並んでいく際、適切な方向・位置に力が働きません。 そのため、歯並びが悪くなってしまうのです。
幼少期の食生活
幼少期の食事の内容や食べ方は、歯並びやかみ合わせに大きく影響します。
よくかまずに食べている
最近の若い人は、あごの発育が悪くなってきており、あごが細い人がとても多いです。親知らずがまっすぐに生えない人も多くいます。あごの発育はよくかむことで刺激されますので、よくかまない食事はあごの発育が悪くなり、結果歯並びが悪くなってしまうのです。
戦後、和食中心の食事から、ハンバーグなどやわらかいものが多い洋食へと変化したことが、よくかまなくなった原因といえるでしょう。また。食事の際にお茶を一緒に飲むことも、よくかまずに食べ物を流し込んでしまう原因です。本来は、お茶は食後に飲むものであり、昔の人は食卓にお茶を出していませんでした。
昔は食事中にお茶を飲むのは行儀が悪いことだったのです。よくかんでいれば、唾液がたくさんでてきて飲み込めるようになっているため、本当は食事の際にお茶は不必要なのです。
清涼飲料水やお菓子の摂取
昔に比べ、コンビニや自動販売機の増加によって清涼飲料水やお菓子を手にする機会が増えています。子供が泣きやむからとお菓子を与えていると、3度の食事の量が減り、余計にかまなくなってしまいます。また、砂糖が大量に含まれていることで血糖値が急激に上がり、落ち着かない子、キレやすい子、虫歯になりやすくなります。
食事の姿勢が悪い
両足がつかない状態で食事をしている子供の場合、食事の際の姿勢が悪くなります。その結果、体が前に傾き、頭が上向きになるためあごの発育に悪影響がでます。
離乳食のあげ方が悪い
離乳食を開始する時期や、離乳食の食べさせ方が歯並びに大きく影響します。離乳食は、母乳やミルク以外の食べ物を体に慣らしていくというだけではなく、唇や舌の機能のトレーニングをする機会です。この時期にしっかりと唇を鍛えておく事が、乳児期に口を閉じてしっかり噛むことにつながります。
月齢に不適切な形状(離乳食がやわらかすぎる、固すぎる)のものをあげたり、早く食べさせようとスプーンで口に押し込むようにあげたりすることは、唇や舌の機能がうまく働かなくなります。その結果、歯並びに悪影響を及ぼすのです.
特に、スプーンであげる際には、下方から口元に持っていき、下唇の上に置き子供がスプーンの上の食べ物を上唇でとろうとするまで待つようにしてください。
生活上の悪い癖
以下のような生活上の悪い癖も、歯並びを悪くします。
- 頬杖をつく
- 横向きに寝る
- 3歳以上になっても指しゃぶりを続けている(1歳代は問題ありません)
- 爪をかむ癖
- どちらか片方の肩ばかりでカバンを持つ
- パソコンやゲームを長時間使用
その他
その他の原因として、以下のようなものがあります。
- 乳歯の虫歯
- 乳歯が遅くまで抜けない
- 乳歯が早く抜けてしまう
- 永久歯が生えてくるのが遅い
- 永久歯の虫歯、歯周病
- 永久歯の先天欠損
- 永久歯を抜いて放置
- 片方のあごばかりでかむ癖
- 歯ぎしり
- 歯の形や数の異常
- 舌の形の異常
歯並びが悪くなると、どんなデメリットがあるのでしょうか?
虫歯になりやすい
歯並びが悪くて歯が重なっている部分など、磨き残ししやすくなります。その結果、虫歯になりやすくなります。
歯周病になりやすい
同じく、歯磨きがしにくい部分を中心に歯周病が進行しやすくなります。
食べ物をかみにくい
きちんと歯がかみあっていないと、食べ物をよくかめず、消化しにくくなります。その結果、体に負担がかかります。
発音しにくい
歯並びが悪く、舌や唇の動きが抑えられると、発音がしにくくなります。
顎関節に悪影響
一部のケースで、歯並びの悪い歯によって顎関節に負担がかかり、顎関節症になりやすくなる場合があります。
顔つきや見た目が悪くなる
歯並びが悪いと、顔つきや見た目も悪くなります。その結果,心理的なコンプレックスがストレスになることもあります。
全身への影響
歯並びが悪く、かみあわせが悪くなる事で、姿勢が悪くなったり、肩こりや頭痛などを引き起こしたりする場合もあります。
悪い歯並びの種類
悪い歯並びは、いくつかの種類に分けられています。
出っ歯・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上の前歯が、前に出ているかみあわせのことをいいます。出っ歯といっても、歯の傾斜によって上顎前突になっている場合と、上あご全体が下あごに比べて前に出ている場合があります。また、最近は下あごの発育が悪く、その結果上あごが前に出て「出っ歯」に見える子供も増えています。
叢生(そうせい)、乱ぐい歯
叢生・乱ぐい歯は、あごが狭いため、歯が並びきることができず、歯が重なり合って生えている状態のことをいいます。中には、犬歯(八重歯)が飛び出ているケースもあります。
受け口・下顎前突(かがくぜんとつ)・反対咬合(はんたいこうごう)
受け口・反対咬合は、上の歯よりも下の歯が外側になってかみあわさっている状態をいいます。これは、下あごが成長しすぎたり、上あごの発育不十分だったりする骨格性が原因のものと、上の歯が後ろに傾斜したり下の歯が前に突出している歯性の原因があります。
開咬(かいこう)
奥歯をかみあわせたとき、前歯がかみあわずに開いているものをいいます。前歯でべ物をかみきることや、正しい発音ができなくなります。
すきっ歯・空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間にすき間が空いている状態をいいます。息が抜けるので、正しい発音がしにくくなります。
その他の悪い歯並び
偏位咬合
上の歯や下の歯の位置がずれていて、上下が左右対称にかみあっていない状態をいいます。
先天欠如
生まれつき歯の数が足りず、はえてこない状態をいいます。
鋏状咬合
上の奥歯が外側、下の奥歯が内側にずれているため、奥歯でしっかりかみあわない状態をいいます。
交叉咬合
かみあわせたときに、上下の歯が交叉している状態をいいます。
先端咬合
上下の歯の先端どうしがぶつかるようにかみあう状態をいいます。
「矯正治療の種類」
矯正治療の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
ワイヤー矯正
ブラケットとよばれる装置を歯の表側に装着し、ワイヤーで連結させて歯並びを整えていく矯正治療です。ブラケットの種類には、金属製・白や透明なセラミックブラケットがあります
このように、セラミックブラケットだと目立ちにくい
メリット
- 最も多く行われており、様々な症例に対応可能
- 対応できる矯正医が多い
- 治療期間が比較的短い
デメリット
- 歯の表面にブラケットやワイヤーをつけるので、目立つ。(目立ちにくいブラケットもある)
- ブラケットやワイヤーの周りをよく掃除しないと、虫歯や歯周病にかかりやすい
舌側矯正
歯の裏側にブラケット装置を装着し、歯並びを整えていく治療です。ブラケットとワイヤーが裏側にくるため、矯正をしていることが外から気づかれにくいのが特徴です。
メリット
- 外から見えないので、誰にも知られずに矯正ができる。
デメリット
- 歯の裏側にブラケットやワイヤーをつけるので、違和感が非常に強い。
- 表側につけるワイヤー矯正に比べて治療期間が長くなる。
- 治療費が通常より1.5倍程度高くなる。
クイック矯正(スピード矯正)
クイック矯正は、厳密には矯正治療ではありません。歯並びが悪い一部の歯を削ることによって、ラミネートベニアやクラウンといった人工の歯をいれて2週間〜1ヶ月程度で歯並びをよくする治療です。
メリット
- 矯正治療より安くすむ
- 短期間で治療が完了する
デメリット
- 健康な歯を削る場合がある(神経を抜く場合も)
- 対応できる歯の形や歯並びに限度がある。
- 全体的な歯並びやかみあわせの改善はできない。
マウスピース矯正
取り外せるマウスピース型の装置「アライナー」をつけ、一定期間毎に交換しながら歯並びをよくしていく矯正治療です。アライナーは透明度が高いプラスチック製なので、人から気づかれにくく、食事の際は自分で取り外せるのが特徴です。
メリット
- ワイヤーやブラケットを使用しないので、違和感が少ない。
- 装置が透明なので目立たず、他人から気づかれにくい。
- 食事や歯磨きの際は取り外せるため、歯磨きがしやすく虫歯になりにくい。
デメリット
- 治療できる症例が限定され、比較的簡単な症例にしか適応できない。
- ワイヤー矯正より治療期間が長くなる傾向にある。
- 装置の装着を怠ると、治療期間がのびる。
インプラント矯正
インプラント矯正とは、インプラント(画像の小さなネジ)を固定源としてあごに埋め込み、ワイヤー矯正と併用する治療法です。今までは難しかった症例でも歯の移動が可能になる他、治療期間が大幅に短縮できるのが特徴です。
メリット
- 治療期間が大幅に短縮できる。
- 確実な歯の移動ができ、難症例でも矯正ができる。
- 非抜歯での矯正ができるケースが増える。
- 外科手術が適応の場合でも、手術なしでの矯正が可能になることもある。
デメリット
- インプラントを埋め込む手術が必要なため、対応できる矯正医が少ない。
- インプラント部の炎症管理が必要
外科矯正
骨格性の上顎前突や下顎前突など、通常の矯正治療では十分に治せない場合に、あごの骨を外科的に切る手術が行われることがあります。
メリット
- 症例により、保険適応になる場合がある。
- 通常の矯正では難しい症例でも治療が可能。
デメリット
- 大学病院など一部の歯科医院でしか行うことができない。
- 外科手術のため、入院が必要な場合が多い。
